2016年11月21日(月)

「冒険の森へ」編集者の私的解説 vol.55
高城高「汚い波紋」

 

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  さて、国産スパイ小説のパイオニアが結城昌治ではなく、中薗英助であることは、前々回のこの欄で書いた。これには続きがあって、実は国産ハードボイルドのパイオニアも大藪春彦でもなく生島治郎でもなく、高城高氏であったということを初めて知った。
  いくらなんでも、高城氏の名前くらいは知っていたし、アンソロジーに収録された短編の二つや三つは読んではいたが。
  かなりの若さで、ご事情があったとみえて筆を折られていたようなのである。
  短編集を手に入るだけ入手して、とりあえず読んだ。古いのは、しょうがないとして、作品レベルの高さにびっくりしたものだ。
  編集委員諸氏と相談して、この「冒険の森へ」に収録させていただく作品を決めた。
  それにしても、ものを知らない恐ろしさは悲劇を招くものである。
  他の方々と同様に、調べた住所に収録許可願いの手紙を出し、(私はいきなりメール、というのは失礼である、と思う世代なのである)届いたあたりを見はからって、お電話をさしあげた。
  めちゃくちゃ元気で声も大きい方が電話口にお出になって、会話をしたのであるが、なんか変、なのである。
  会話を続けているうちに、誤解がとけた。
  私が、高城高氏の著作権継承者だと勝手に決めこんで、話していた方は、なんと高城高氏ご本人だったのである。
「冒険の森へ」製作過程で、私がぶっこいてしまった最大の無礼のひとつがこの高城氏事件である。
  高城高さん、その節はまことに失礼をいたしました。重ねてお詫びをいたします。